Et★Toiのフランス的日々[L'art de Vivre]

フランスの映画、音楽等のエッセイ/植物を主体とした造形作品・商品企画、及びフランスの伝統色

◆映画と音楽シリーズ - 5.ショコラ(Chocolat)

◆作品概要

1959年四旬節の断食の期間。フランスの小さな村に母娘が北風とともにやってきた。母ヴィアンヌと娘アヌークは、ルーツの南米から受け継がれるチョコレートの効能を広めるため世界中を旅し、この村でも老女アルマンドから借りた物件でチョコレート店を開店する。村長のレノ伯爵からの反感を受けるが・・・。ヴィアンヌは、村に船で流れ着いた「流れ者」のリーダーの青年ルーと思いを交わす。★チョコレートを通し、村人達とのハートフルな交流がうまれる・・しかしアルマンドは糖尿病で亡くなる。

★J.ビノシュらしいエレガンスが感じられる代表映画。登場する創造的なチョコレートを見るのも楽しみ。

 

♭音楽について

音楽では、J.デップの弾く「マイナースイング」の方が印象深いが、ヒロインが南米での自分の家族のことを回想するシーンで、サティの「グノシエンヌ」が使われ、エキゾチックな雰囲気を醸し出す。

 

 

◆映画と音楽シリーズ - 4.鬼火(Le Feu follet)

◆作品概要:

ダダイスムの作家ジャック・リゴーの生涯に着想を得たピエール・ドリュ=ラ=ロシェルの小説 Le Feu follet (邦訳:『ゆらめく炎』)をマルが脚本化した。

アルコール依存症の男が自殺に至るまでの48時間(~7/23)を、抑制の効いたモノクロームの画面で描く。

 

★この俳優・女優のコンビはルイ・マルの『死刑台のエレベーター』でも組んでいる。モーリス・ロネは、『太陽がいっぱい』、『太陽が知っている』にも出演し、サスペンス系の映画が本領の様。

 

♭音楽について:

サティの「ジムノペティ」と「グノシエンヌ」が使用され、映画全体の憂鬱でアンニュイな雰囲気が出ている。特に「グノシエンヌ」の方は、アランが、Café De Floreで絶不調な精神状況である時に流れてくる。

 

 

 

◆映画と音楽シリーズ - 3.黒いオルフェ(Orfeu Negro)

◆作品概要:

 ギリシア神話のオルペウス(オルフェ)とエウリュディケー(ユリディス)の物語の舞台を、公開当時のブラジル・リオデジャネイロに移しかえたものである。本作ではカーニバルを控えるリオデジャネイロ市内のファヴェーラが主な舞台となっている。

★演技未経験という出演者による映画であり、あまりにも楽曲の方が有名な印象がある。

★「オルフェとユリディス」については、オペラ作品にも登場し、愛する妻ユリディスを失ったオルフェが、冥界に彼女を取り戻しに行く際に、「振り返るな」という約束を守らなかった為、再会ができなくなったという悲恋物語

 

♭音楽について:

アントニオ・カルロス・ジョビンサウンドトラックを担当。ルイス・ボンファは、「カーニバルの朝」(別題「黒いオルフェ」)をはじめとしたボサノヴァを多く編曲・演奏した。

・原作者のモライスは、有名な「イパネマの娘」の作詞を手掛けている。

 

◆映画と音楽シリーズ - 2.エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜(La Môme)

◆作品概要:

実在のシャンソン歌手エディット・ピアフの生涯を描く伝記映画。売春宿で育ち、街角でスカウトされて歌手として一時代を築くも愛に恵まれなかったピアフの一生が綴られている。妻子あるボクサーであるマルセル・セルダンが恋人であったが、飛行機事故で先立たれてします。

 

★劇場で観劇した時はフランス映画の事が詳しくなかったが、今鑑賞すると、売春宿でピアフを可愛がるE.セニエや、フランスを代表する俳優のG.ドパルデュー等の名優が出演していて、改めて興味深い。

★M.コティヤールは、『ロング・エンゲージメント』では、ギロチンにかけられる娼婦役を演じ、セザール賞助演女優賞を受賞し、実力派の俳優。

 

♭音楽について:

・言わずと知れたピアフの「愛の讃歌」、「バラ色の人生」、「水に流して」の代表曲が熱唱される。

・ヒロインのM.コティヤールの代表作であり、もともとピアフの曲にも大いに興味をもっていたとのこと。

 

 

◆映画と音楽シリーズ - 1.パリの空の下セーヌは流れる(Sous le Ciel de Paris Coule la Seine)

◆作品概要:

 知合いの男性を訪ね、パリに来たドニーズは、変質者の彫刻家のマチアスに殺されてしまう。犯人を追う警官の弾丸にあたり、工場で働くエルムノーは不幸にも致死の大事故にあう。ドニーズの友人マリー=テレーズの恋人の医学生ジョルジュは、医師の試験にチャレンジするが、なかなか合格できなかったが、エルムノーを手術し一命をとりとめ、勇敢な人として称えられた。

 

★ アコーディオン等で演奏される「パリの空の下」が演奏されるシーンは印象深いが、多くの旅人を引き付けるパリの魅力と魔力を同時に感じる映画であった。

 

♭音楽について:

ユベール・ジロー 作曲、ジャン・アンドレ・ドレジャック 作詞のシャンソンが有名で、リーヌ・ルノーが創唱した。E.ピアフの録音がかなり普及しており、多くの歌手が歌っている。パリ名所のベルシー橋、サン=ルイ島が歌詞の中で唄われる。

 

 

 

 

2月の映画鑑賞 ピックアップ

 11日は誕生日で、Facebookの方で、皆様からのメッセージを頂戴しましたので、最近見た、以下の主な映画3本について、簡単にお伝えしました。

 

◇ 5月のミル(ルイ・マル

 前に見た記憶があり、パンフレットを買っていたので、気になっていた。2年前の5月に逝去した、ミル役のミシェル・ピコリ(J.グレコの元夫)が主演で、S.グラッペリが音楽を担当している。詳細は記憶しないタイプだけど、この5月が1968年の革命の月だったのでした。★昨年秋にレンタルが開始されたのに在庫がなく、やっと届いた。

 

◇ 男性・女性(JL.ゴダール

 昨年、スイスで自らの意思で自死したので、今年の映画界はゴダールにフォーカスの様。(11日も日仏学院での映画のアトリエで、早速、壮大な『映画史』の1章を鑑賞させて頂いた。)

 その関係で、何本か氏の映画をみていた。この作品は2回目だけど、何とモーパッサンの短編が原作。ゴダールの作品の中では鑑賞しやすい方。

 

◇ 雨の訪問者ルネ・クレマン

 このころの映画は、フランシスレイやミシェルルグランの映画音楽が素敵すぎ、記憶にのこるけど、おそらくちゃんと観るのは初めて。歌いたいと思いながら、輸入楽譜になさそうなので、楽譜作成のオーダーを依頼したところです。

さよならベルモンド[2021.9.6]

 もう昨年のことになるが、フランス映画等も好きなInstagramのフォロー中の皆様のゴダールの『勝手にしやがれ』のJean Paul Belmondoの写真の投稿があり、9月6日に、同氏が逝去した事を知った。
 フランス映画特有のChic, EspritやCoquette, Ennuiを人格化したのが、まさにBelmondoと4年前に亡くなったJeanne Moreau。好みはあるだろうけど、2名共、好きな俳優としてリストアップする以前に、世界で共通のレジェンド。

 是非みたいと思って最近いくつかメディアを買った。悲喜こもごもの内容の『ダンケルク』、ドヌーブとの共演でトリュフォー監督のちょっと複雑な『暗くなる迄この恋を』を視聴。
 これまで視聴した映画では、ややマイナーで地味ながら、私は、この2つの映画に、哀愁やシンプルな映像美を感じる。
■『雨のしのび逢い(Moderato Cantabile)』(1960年)
原作は好きなDurasの同名小説。Jeanneとの共演も贅沢。タイトル名は主人公アンヌの息子が、やる気のないピアノレッスンで弾かされる、古典派のAnton Diabelliの曲。
■『冬の猿(Un singe en hiver)』(1962年)
 ノルマンディー上陸(Dデイ)前に、娘を連れにきた青年と初老の宿屋主人(Jean Gabin)とのふれあいを描いたヒューマンドラマ。酔って踊るシーン、花火を打ち上げるシーン等が光彩を放ち、時間がゆっくり流れる様子が映像として美しい。映画のタイトルは、最後の列車でのシーンで、宿屋主人の“中国で冬に見かける迷い猿”の説明から・・。

★★本日迄に、ベルモンドの映画を沢山見た。E.モリコーネの音楽で有名な『華麗なる大泥棒(Le Casse)』を初めに、『追悼のメロディ(Le corps de mon ennemi)』、『女は女である(Une femme est une femme)』や、故ドヌーブのお姉さんF.ドルレヤックと共演した『リオの男(L'Homme de Rio)』等が興味深かった。詳細は、また別の機会に投稿してみたい。